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奥久慈での悲劇(西金駅~男体山~月居山~袋田駅) [登山]

私が住んでいる千葉県というのは、山ノボラーにとっては実につまらない所である。県内の最高峰(愛宕山)はわずか408mしかなく、全国の都道府県の中で500m以上の山がないのは千葉県だけだ。従って、ちょっとした山に登りたくなった時には、どうしても奥多摩や丹沢に出掛けることになるのであるが、お隣の茨城県で登るのに良い山があればなぁ…と思っていた。

茨城県の名峰といえば百名山にも名を連ねる筑波山(877m)が有名であるが、筑波山には既に20回近く登っているので、さすがにもう飽きた。そこで、他にどこか良いコースはないものかと探していたところ、ブログを訪問させていただいている『昔の山男』ことtochimochi さんの記事で、奥久慈の男体山(654m)から袋田の滝に抜けるコースが紹介されていた。その記事によると、男体山はクサリ場が多くてなかなか楽しそうだし、最後に茨城県屈指の観光地である袋田の滝を観光できるのも良い。ということで私もtochimochi さんと同じコースを歩くことにしたのであるが、その前に私にはクリアしなければならない問題があった。

そう、このところ山に入るとかなりの確率で強烈な便意に襲われてしまうのだ。最近は”キジ撃ち”関連の記事ばかりで恐縮であるが、軽いタッチの文章に反して私にとっては極めて深刻な話であり、決して大袈裟ではなくこれからも山を続けるかどうかを左右する大問題である。山に入る都度”キジ撃ち”の恐怖に怯えているようでは、とてもじゃないが山を続ける気にはならない。

便秘症の方々から、下痢症の私の事が羨ましいと言われることがある。便秘症の方は、ウン〇の際には常に残糞感(残便感?)があるらしく、下痢になってみてスッキリ感を味わいたいのだそうだ。”隣の芝生は青い”とは正にこのことである。便秘症の人にはもちろんそれなりの悩みがあるだろうが、いつウン〇を漏らしてしまうかもしれないという恐怖に比べれば遥かに軽い悩みではないかと思う。

前回の雲取山では、自分なりに考えられる対策を完璧に講じたつもりであったのだが、その甲斐もなく無残にも下痢による”キジ撃ち”再発動の憂き目にあった。ただ、その災難にも係わらず、雲取山の山頂を踏むことができ、キジ撃ちマスターの称号を得ることができたのは不幸中の幸いであった。山で色んな経験を積むことによって精神的に随分と逞しくなっているのは間違いない。

雲取山で下痢になってしまったのは、やはりお腹が冷えてしまったのが原因であると判断した私は、今回次のような2つの対策を新たに講じることにした。

1.メリノウールのアンダーウェア
メリノウールとは、メリノ種という羊の毛が原料の羊毛の中でも最高級とされるウールで、その特徴は保温性・断熱性に優れており、更に、汗などの水蒸気を吸着することで吸着熱という熱を繊維自体が発生させるというもの。また、ウェア内を常に乾いた状態に保つため、いつまでも断熱効果を維持することができるらしい。つまり、お腹を冷さないためには理想的な素材ということだ。はっきりいってユニク〇のシャツなら10枚は買えるのではないかと思われるくらいお値段も相当なものであったが、この際多少の出費は止むを得ない。

2.ホットカルピス
1/30 に大菩薩峠に行った際にハイドレーションのチューブの水が凍ってしまった反省から、雲取山では凍る前に小まめに水分補給をしたのであるが、これがお腹を冷す直接の原因となってしまったと思われる。そこで今回はハイドレーションは使わずに、魔法瓶に熱々のホットカルピス(ほっとレモン味)を入れて持っていくことにした。

果たしてmakiwarikun は今回こそ”キジ撃ちジンクス”を打破して、安らかな気持ちで袋田の滝を眺めることができたのか?

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

日程:2011年2月27日(日帰り)
天候:晴れ[晴れ]

コースタイム:
6:57 袋田駅 [電車] 7:10 西金駅 →7:27 湯沢温泉 →8:03 古分屋敷 →8:12 大円地 →9:05 男体山山頂(5分休憩) →11:21 月居山山頂 →12:24 袋田駅

直線距離:14.461km
沿面距離:14.984km
累積標高(+):1423m
累積標高(-):1401m
所要時間:5時間14分

男体山地図.JPG
GPSトラックデータ

男体山グラフ.JPG
GPSデータグラフ表示

自宅を5時に出て、柏インターから常磐自動車道を北上し袋田駅に向かう。当初の予定では、袋田発7時27分の電車に乗るつもりでいたのであるが、道が空いていたことにより予定より30分も早く到着し、1本前の電車にギリギリ乗り込むことができた。まずは幸先よしである。
袋田駅.JPG
袋田駅の駐車場(帰りに撮影)

袋田駅には券売機も自動改札もなかったので、どうやって運賃を払うのだろうと思いつつ乗車したのだが、そのうち車掌さんが回ってこられたので、声を掛けて運賃の200円を支払った。
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西金駅(7:10)

西金駅からは登山口まで舗装された道を1時間ほど歩くことになるが、途中で湯沢温泉~古分屋敷~大円地と呼ばれる集落を経由していく。歩くにつれて男体山の姿が段々と大きくなってきたが、急峻な岩場を目の当たりにして、あれの一体どこを登っていくのだろうかと少々不安になった。この岩場はかって修験者が悟りを開く宗教上の秘所であったらしい。
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古分屋敷から眺めた男体山(8:06)

一時間ほど歩いたところに綺麗なトイレがあったので、ここで用を足しておいた(今回は小のみ)。10台ほどの駐車スペースもあったので、ピストンする場合はここに車を置いて歩き出すことができる。
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古分屋敷の先にある駐車場とトイレ(8:09)

やがて大円地山荘という蕎麦屋の前を通り過ぎると、やっと登山道らしい細い道が現れた。
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大円地の手前にある蕎麦屋(8:12)

登山道はすぐに健脚コースとの分岐に達する。クサリ場の練習が今回の目的の一つなので、ここでは左に曲がり健脚コースを進むことにした。
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大円地の先にある健脚コース分岐(8:15)

健脚コースは初め杉林の中を進んでいくが、岩でゴツゴツとした足場の結構な急斜面であった。このところ整備された歩き易い山道ばかりを歩いていたので、久しぶりの感触に気が引き締まった。
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健脚コースの登山道(8:19)

やがてお目当てのクサリ場が現れ出したので、安全のためにストックを畳んでザックに装着した。クサリ場はかなりの急斜面となっているが、滑りにくい岩質の足場はしっかりしており、ホールドも豊富にあるので、基本である3点支持を守って着実に登れば、不安に感じる場所はなかった。途中で展望台と呼ばれる岩頭があるが、10名ほどの賑やかな団体さんが休まれていたのでここはスルーした。
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健脚コースのクサリ場(8:38)

いくつものクサリ場を登っていくとやがて男体山山頂に到着した。50分掛けて標高差400m以上を一気に登ったことになるが、ここではまだ疲れをほとんど感じていなかった。
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男体山山頂(9:05)

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男体山山頂標識(9:07)

男体山山頂で5分ほど休憩してから、月居山(つきおれさん)・袋田の滝を目指して気持ちの良いハイキングコースを歩き出した。このコースには所々に下の写真のような明瞭な道標が立っており、道迷いの心配はほとんどなかった。途中で2箇所ほどやや不明瞭な場所があったが、辺りを見回すと赤いテープか赤いペンキで進むべき方向が示されていたので全く問題はなかった。
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男体山~月居山のハイキングコース(9:59)

10時頃までは非常に順調に歩いていたのであるが、そのうち段々と息苦しくなり気持ち悪くなってきた。この日は気温が高かった為に大量の汗をかいてしまい、どうやら脱水症状になってしまったようである。お腹を冷さないようにと、熱々のホットカルピスを魔法瓶に入れて持ってきたのであるが、これが仇となった。熱いが為にゴクゴクと飲むことが出来なかったので、発汗量に比して水分補給が足りなくなってしまったと思われる。これまで休憩らしい休憩も取ってなかったので、ここでは腰を下ろしてホットカルピスを少しずつ時間を掛けて飲むことにした。

しかし、流石に大枚をはたいて購入したメリノウールのシャツだけのことはある。大量の汗を吸収しているにも係わらず、肌触りは相変わらずサラサラであり、冷たさを全く感じない。その上、消臭効果もあるようで、いつもの中年オヤジ独特の汗臭さもしないではないか。

更に悪いことには、以前から痛めていた右足首の状態がやっぱり思わしくない。前日に1ヶ月ぶりにバドミントンの練習をしたのが良くなかったのかもしれないが、右足首を少しでも捻った感じで着地するとかなり痛いのである。仕方がないので、コースの後半部分はとにかく歩幅を狭めて着地の際の衝撃をなるべく小さくするようにした。

やがて第2展望台→第1展望台と見晴らしの良い場所に辿りついたが、どうした訳か第2展望台が刻まれた岩は寝ているのに対して、第1展望台の方の岩はビンビンに立っていた。(なんか羨ましいぞ!)
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第2展望台(10:34)

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第1展望台(10:45)

第1展望台は鍋転山(423m)という山の山頂に設置されている。
1046鍋転山.JPG
鍋転山山頂(10:46)

そして、第1展望台から月居山へ向かう途中で、遂に最も恐れていた事態が訪れたのであった。そうである、またしても便意が高まってきたのだ。いつも通り小さなオナラが小刻みにプップップッと出てきたことがその前兆であった。もはや”キジ撃ち”に関してはベテランの域に達した感のあるmakiwarikun の見立てに間違いはない。

こうなればキジ撃ちマスターの称号を得ているmakiwarikun にもはや迷いはない。早速”キジ撃ち”場所の選定作業に入った。ところが雲取山の時と違って今回は適当な場所がなかなか見つからない。

私は”キジ撃ち”場所の条件として重要な順から次のように考えている。
1.平坦な場所であること
2.人が立ち入らない場所であること
3.登山道から見えないこと

このうち1と2の条件はクリアしている場所はあるのだが、残念ながら登山道からはモロ見えなのだ。しかし、この際贅沢を言っている場合ではないので、覚悟を決めて実行することにした。幸いにもこの日同じコースを歩いている人は少なく、男体山からここまでわずか1組の団体さんとすれ違っただけなので、”キジ撃ち”中に誰かが来る確率は極めて低い筈である。そして前回同様、足場を均してから素早く事を済まし、念入りに落ち葉を掛ければそれで終了である。
ザッツ・オール!!

キジ撃ち場所のすぐ先が月居山であったが、ここにも誰一人として居なかった。
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月居山山頂(11:21)

月居山から袋田の滝は目と鼻の先にあるが、度重なる”キジ撃ち”によって茫然自失気味のmakiwarikun は、もはや名瀑を観光しようなんていう気持ちは失せていた。今回こそは下痢に対する完璧な準備をしてきたつもりだったのに一体何が悪かったのか?自分の中でこの日の出来事が全く消化できずにいたのである。「こんな調子では、もう山を止めなければならないかなぁ…」なんてすっかり弱気になっていた。とにかく、この時は1秒でも早く家に帰って、ゆっくりと休みたいとだけ思っていた。

袋田の滝の下流には数多くの土産店が建ち並んでいるが、日曜であるこの日はどこも観光客でごった返している。幸せそうに笑っている観光客の目を避けるようにして、肩を落としたmakiwarikun はトボトボと袋田駅に向かう。そして奥久慈名物のこんにゃくを食べている観光客を見てこう思った。
「お通じが良くなるこんにゃくなんて嫌いだよ!」

【感想等】
・今回は色々とあって悲惨な山行となってしまったが、コース自体はなかなか気に入ったので、紅葉の季節にでも再び訪れてみたいと思った(山を止めていないことが前提であるが…)。

・小手先の対策では”キジ撃ちジンクス”を打破することは出来ないと悟ったので、もう少し根本的な対策を講じる必要があると思い色々と調べた結果、『ミヤリサン』という整腸剤があることを知った。『ミヤリサン』とは、整腸生菌成分の一つであり、生物で最も耐久性があると言われている芽胞を形成する酪酸菌(宮入菌)を主成分とした整腸薬のことで、この酪酸菌(宮入菌)が腸内有益菌の働きを高め、有害菌の働きを抑えることによって整腸作用を示すらしい。『ミヤリサン』によって下痢症が治ったという数多くのユーザーレポートを読み勇気付けられた私にも果たして効果はあるのであろうか?
ミヤリサン.jpg
最終兵器『ミヤリサン』

・『ミヤリサン』による整腸効果の検証と足首の状態が完全に戻るまで、とりあえず3月の1ヶ月間は山に向かわず休養することにした。4月の第1週末はバドミントンの試合に出るつもりなので、次回の山行は4月の第2週末になる予定である。

3月3日現在の体重 ?㎏(目標達成まであと?㎏減)
傷心のmakiwarikun はとてもスポーツジムに行く気にならず体重も計っていない。



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nousagi

ほんとはあまりナイスを押したくないんだけど・・・(笑)。
by nousagi (2011-03-03 22:07) 

Jetstream777

お疲れさま、ミヤリサン、聞いたことあります。昔からある薬のようです。
定期的にモヨオスのは自然の生理現象。 それが出くわす場面が山であるなら、もう開き直ってするしかないのです。
ですから、マッキーさんの場合は、水場ならぬ、キジ場をルートで何か所か想定して(X印をコース上に)、近くなったら早めに実行すること。 黒戸尾根を日帰り制覇した健脚が、このようなことでめげるのはXですよ!
私の抱える爆弾に比べたら、健康ですよ。 !(^^)!
by Jetstream777 (2011-03-03 23:33) 

ももこ

こんばんは
山でお腹が痛くなるのは辛いことでしょうが
こんな記事を一読なさってください。
http://www.j-trek.jp/kato/archives/000241.html
山を汚さないように植生を乱さないようにお尻のよく言って聞かせてください

あとはお腹が冷えないようにホカロンを入れる。
痙攣性大腸炎かもしれないので
一度お医者さんにご相談なさってはいかが。


by ももこ (2011-03-04 00:40) 

tochimochi

先月歩いたばかりのコース、懐かしく写真を拝見しました。所要時間からは快調とお見受けしましたが、大分苦労があったようですね。
滝を見る余裕が無かったとは残念です。
ミヤリサンの効能があることを陰ながら応援しています。
by tochimochi (2011-03-04 08:59) 

Terry

「度重なる”キジ撃ち”によって茫然自失気味」、深刻ですね・・・・・う~~ん     こ(失礼!)。
とりあえず打開策を見つけるまでは、やっと山に馴染んできた山ガール達に見られて失望されることの回避が最優先です。山ガールが来ない山に行きましょうね。


by Terry (2011-03-05 05:33) 

makiwarikun

>nousagiさん、Jetstream777さん、ももこさん、tochimochiさん、Terryさん
コメントありがとうございます。キジに書いて・・・違った、記事に書いてある通り、当面お腹の不安がなくなるまでは、山に向かうのは止めておきます。4月になったら、トイレが完備されている筑波山や大倉尾根あたりで試運転を数度やってから、段々と距離を伸ばして行こうかと思っています。

by makiwarikun (2011-03-05 07:34) 

山子路爺

なんだか面白そうなコースですね。
袋田の滝も久しく行っていないなぁ。
深刻な問題は専門家に相談してみては……。
by 山子路爺 (2011-03-05 22:30) 

makiwarikun

>山子路爺さん
やや舗装道が長いですが、クサリ場あり気持ち良い尾根道あり名瀑ありとコースは面白かったです。しばし休憩です。
by makiwarikun (2011-03-06 07:31) 

よしころん

マスター、お腹の具合もさることながら右足も心配でございます。
以前も申し上げたかと思いますが、私は昨年左足靱帯痛めた際、3ヶ月休養いたしましてございます。
どちらもスッキリ回復されること、お祈りしております。。。


by よしころん (2011-03-06 21:20) 

makiwarikun

>よしころんさん
ありがとうございます。足首の方は大したことはないのです。ウォーキング程度なら全く問題ないですから。問題はお腹の方ですが、暖かくなってくれば、ミヤリサン効果と相まって回復するのではないかと…。山に行けないうっぷんを晴らすために、本日ネットで山道具(シャツとトレッキングポール)衝動買いしてしまいました。(あやうく寝袋もポチッと行きそうになりました。)
by makiwarikun (2011-03-06 22:08) 

おど

nousagiさんの言うとおり、nice!では無いような・・・。(笑) 出すのはいいのですが、矢張りキチンと処理をしないとね。 確か、野糞(失礼)の本があったと思うので、一読をお勧めします。(http://www.amazon.co.jp/%E3%81%8F%E3%81%86%E3%83%BB%E3%81%AD%E3%82%8B%E3%83%BB%E3%81%AE%E3%81%90%E3%81%9D%E2%80%95%E8%87%AA%E7%84%B6%E3%81%AB%E3%80%8C%E6%84%9B%E3%80%8D%E3%81%AE%E3%81%8A%E8%BF%94%E3%81%97%E3%82%92-%E4%BC%8A%E6%B2%A2-%E6%AD%A3%E5%90%8D/dp/4635310280) ここまで、来るとお腹が冷えるとか関係なくて精神的な問題でしょうね。 所で肝心の登山ですが、それなりにヨカッタみたいですね。 高い山ばかりではなく、低山でもいい山は沢山あると思うので、色々と出かけて見てください。(でも、次は4月ですか・・・。 体調回復されると良いですね。)

by おど (2011-03-06 22:57) 

makiwarikun

>おどさん
ありがとうございます。もちろんキジ撃ちマスターを名乗る以上は処理もきちんとしてますよ。掘った簡易トイレに念入りに落ち葉を積み重ねましたので、後はバクテリア達が土に返してくれるでしょう。私も野糞の本を出そうかなぁ。
by makiwarikun (2011-03-07 19:22) 

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